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日本の人里離れたような誰も来ない森の中に、突然小さな点のような光が現れた。
光はゆっくりと動きだし、分かれ、合わさり、やがて一つの大きな陣を作り出した。
ぼんやりと輝くソレは、綺麗な丸い円の中に不思議な模様を描いていた。
陣の中心がより一層輝き、一つの影が生まれた。
小さく丸いその影は輝きが小さくなっていくのに反比例して大きくなり、人の形を形成していく。
光が消え陣が消えた時、そこに一人の少年が倒れていた。
絹糸のように細く、木々の間から洩れた太陽光をまるで吸い込んで輝いているかのような美しい銀髪。
その銀髪より白く柔らかみのある肌。
男でも女でもない、中性的な綺麗に整った顔立ち。
触れるだけで壊れてしまいそうな程に華奢な身体。
そしてそれらを包み込む衣服は全てが黒く、対照的である少年をより美しく、より儚く見せていた。
それだけを見ると少年は普通の少年に見えたかもしれない。
しかし、彼は普通ではない物を持っていた。
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