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天界の中央にある塔の最奥にある一室で、30代後半に見える男と20代前半に見える青年が話し合っていた。
青年は現在、天界で天才だと謳(うた)われているルイである。
そしてそのルイと話している男は一段高い場所で椅子に座っていた。
その椅子には銀などの装飾が豪華に施(ほどこ)されていて、後ろには二人の男女が控えている。
それらは男がかなり高位な人物であることを物語っている。
さらにルイは片膝・片手を床に付けた、所謂(いわゆる)服従のポーズを取っていた。
ルイはプライドが高い。
そんなルイが服従するのは天界でもただ一人だけだった。
男は天界で一番の権力を持つ天使で神に最も近いと言われている大神官だ。
年齢はもう900歳を超える程で、天界で一番年を経ている。
その所為かその存在はあまりにも威圧的で、魔力の少ない者なら近寄るどころかその姿を見た瞬間に強過ぎる魔力に当てられて気絶してしまうだろう。
「…ルイ、お前は最近の人間界の異常を知っているか?」
「はい。近頃日本の首都・東京で何人もの人間、それも若い男ばかりが魂の抜けた状態で発見されています。」
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