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背中とお尻にあるソレらは、鋭く鈍い光を放つコウモリのような羽と、先が尖っていて羽と同じく鈍い光を放つ槍のような尻尾だった。
…少年は、人間ではなく悪魔だった。
その容姿はとても美しく、悪魔というよりは天使に近い。
しかしその禍々しい印象を与える鋭く黒い羽と尻尾が、少年が悪魔である事を物語っていた。
少年は身体を丸めて小さく寝転がるように倒れていた。
そのまま永遠の眠りについてしまうのではないかと思えるように倒れている少年の閉じられた瞳からは、一筋の涙が流れた。
そして消えるようなか細い声で小さく一言だけ呟いた。
「…か……さま…」
そしてまた涙を流して静かな寝息を立て始めた。
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