悪魔との接触

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  今までのように“投げた”りせず、ボールを目の前まで降ろしてそのボールから天使に向かって光を照射させて撃ったのだ。   ルイから見た様子ではその光は段々と大きくなって自分に迫ってきていた。   そして少し離れた場所から二人の様子を見ると、悪魔の少年の目の前のボールが変形していき段々と広がって天使の青年へと伸びているようだった。 その光の形はまるでメガホンか何かのようで、天使を包み込むように恐ろしい程の速さで進んでいった。     ルイは光が迫ってきているこの状況でも全く動じる事なく冷静に自分の周り、それも前方だけに魔力を集めて先程のように光を消していく。   実際は光が消えているのではなく、光を形成している魔力を細かく切断し散らせているだけである。 しかしそのスピードがあまりにも速過ぎる為にただ魔力が消えていっているようにしか見えないのである。     (こいつが冷静になったら、恐ろしいだろうな。)     攻撃を受けている真っ最中にも関わらず、それを消しながらのんびりとそんな事を考えていると自然と口元が弛んで笑みが零れてしまう。   今はもう悪魔の少年を倒そうとか殴ろうとかいった気持ちは一切なかった。 その代わりに湧き上がってきた興味は、自分でさえ抑えが利(き)かない程に膨れ上がり止まらなくなっていた。      
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