245人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
(…こいつは、底が知れないな…)
もはや限界だと思っていたのにそれ以上の攻撃を仕掛けてくる。
ルイが予想していたより実力があった。
ルイはもし相手の少年が自分と同じ年齢で同じ状況、同じ体格をしていたら負けていたかもしれないなと考えてそんな状況を想像して楽しそうに笑う。
初めて見つけた同じ“天才”という存在。
ほんの少し対峙し戦っただけでわかる。
自分よりも実力がある癖に、そして悪魔という存在である癖に天使である自分よりも優しい少年。
ルイはこの少年の事をもっと知りたいと思い、その気持ちがはっきりとしたモノへと変わるとさらに強くさせていった。
そしてそんなルイの気持ちの変化は僅か数十秒で終わった。否、終わらせられた。
突然に自分を攻撃していた光が途切れてしまったのだ。
つまり、悪魔の少年の魔力が切れて攻撃し続けられなくなった。
軽く顔を上げると少年と目が合う。
そしてその顔はどんどんと青ざめていき、小さく何か呟いたかと思ったら急に羽や尻尾が消えて少年の身体がバランスを崩した。
恐らくは意識を保っていられる程の魔力が残っていなく、魔力を回復させようと強制的に羽と尻尾をしまわれ意識を失わされたのだろう。
少年が落ち始めるその瞬間にはルイはもう動いていた。
最初のコメントを投稿しよう!