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いつもより遅く、いつもより慎重に飛んでいるルイの両腕の中には、静かな寝息を立てて深く眠る悪魔の少年がいた。
数時間前にやった戦いの疲れと魔力の大量消費によりまるで死んでしまったかのように深く眠っている少年の様子を時々見つめては生きている事を確認し、確認した後は出来るだけ急いで天界を目指す。
何度もそれを繰り返してようやく天界が見えてきた時、ルイは速度を上げて門の前に降り立った。
「門を開放しろ。」
言葉に魔力を乗せて分厚(ぶあつ)い門の内側へと響かせると暫(しばら)くしてから門が開け放たれた。
ルイとは違い言葉に魔力を乗せて響かせるという魔法が使えない門番の天使たちは門を開けた後に労(ねぎら)いの言葉と共に謝罪の言葉を送り、ルイが抱きかかえている少年を見て誰なのか尋ねるがルイはそれに答えずすぐに中央の塔へと飛んでいった。
いつもの丁寧な言葉遣いしか知らない門番の天使たちはルイのその態度の変化に戸惑いを感じながらも、それがいつもより似合っていると思ってまた改めてルイの美しさに惚れた。
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