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来る時には歩いた道も今は飛んで時間を出来るだけ短縮させる。
いつもより長く感じるその道程(みちのり)を急いで飛び、塔の中に入ると早足に自分の部屋へと歩いていった。
歩いている途中にも少年の様子を時々伺い異常が無いか確認する。
後は角を一つ曲がって直線を少し進めば部屋に着くという所でルイの頭の中に一人の声が響いた。
『ルイ、その悪魔を何処へ連れていくつもりだ?今直ぐこちらへ連れてこい。』
聞こえてきた声にルイは心の中で舌打ちをしながら短く「わかりました。」と返し、今来た道をまた戻り始めた。
途中まで戻ると先程とは違う道に入り迷う事なく進んでいく。
そしてルイが最も敬遠したがる最奥の一室の前まで来ると目の前の扉が独りでに開いて中から入ってくるよう声をかけられる。
いつものように短い断わりを入れてから中に入るとそこにはいつもより緊張感と緊迫感、そして警戒心をひしひしと醸し出している大神官と側近の3名がいた。
そんな重苦しい空気にも微動だにせず平然と歩を進めて大神官へと近付くと数メートル手前で止まり大神官だけを睨むような冷たい瞳で真っ直ぐに見つめる。
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