初めての恋~秋~

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「…僕は、千紘さんの事が、…す、好きです!」 誰もいない校庭に二人が立っていた。 「じ、実は私も純樹くんの事が前から好きでした。」 その日の校庭には木枯らしが吹いていた。 木枯らしに抱かれながら二人は恋をした。 俺の名前は純樹、昨日から千紘さんとお付き合いさせてもらう事になった。 千紘さんの家族は、母と大阪へ行ってしまった兄と千紘さんの3人で、父親は千紘さんが幼い時に白血病で亡くなってしまって、シングルマザーとして千紘さんの兄と千紘さんを育てた。 高校が神奈川の為、俺は一人暮らしをしている。 千紘さんと付き合ったとしても、初恋だからどうしたら良いのか分からずにもがいている。 千紘さんの成績と俺の成績はクラストップを争うぐらいの超ガリ勉男女だ。 そうこうしている内に携帯が鳴った。 相手は千紘さんだった。 電話の向こうで千紘はドキドキしていて、なかなか純樹と話せずにいた。 そして千紘が口を開く。 「純樹くん、今度の休み、二人で横浜に行かない?」 千紘さんから先にデートを誘ってくれるとは俺も正直思わなかった。 俺は即答で「今度の休みだね。俺、楽しみにしてるよ。千紘さん、誘ってくれてありがとう!」 俺が初めて人に素直にありがとうって言った。 「嬉しいです。純樹くんの為にかわいい服用意しとくね♪」 俺は息を飲んだ。 あの学園でも噂の美人の私服を見れるとは…… 週末になり、秋晴れと天気に恵まれた横浜。 千紘が5分遅れて来た。 駅の階段から降りて来た千紘に階段を昇る人達は振り返るぐらい美しかった。 初めて見る千紘の姿に純樹は少し照れていた。 千紘が純樹の手を握り「純樹くん、行きましょ♪」 純樹は千紘に手を引かれながらも歩き出した。 多くの店が並ぶ街路地を二人は手を繋ぎ歩いていた。 すると千紘は「純樹くんといつまでも一緒に歩く街路地の一歩目の思い出が欲しいな。」純樹は恋愛経験がないので、思わず「それじゃあ、二人でお揃いの指輪を買おう!」 そんな純樹を見た千紘は快く「それじゃあ私がデザインを選んでいい?」 「わかった。」 純樹は千紘のセンスの良い物を選んだくれると思った。 そして、選んだ指輪には小さなダイヤモンドが入っていた。 二人が歩む街路地の第一歩であった。 それから冬に変わり、ダイヤモンドの様な雪が降りはじめた。
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