寄り添う二人~冬~

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寄り添う二人~冬~

「千紘さん、クリスマスはどうするの?」 純樹もすっかり千紘との恋愛に慣れていた。 「もし純樹くんが大丈夫なら家に行ってみたいな。」 千紘は即答した。 純樹は真面目で家事は全て自分でこなしているので家は散らかっていない。 純樹は「わかった。千紘さんの為に料理をしてあげる。」 「クリスマスね。純樹くん、約束だよ。」 千紘は嬉しくて仕方がなかった。 次の日近くの商店街に行き、純樹へのプレゼントを選んでいた。 すごくうかうかしている時に同じクラスの友達が来た。 「千紘ぉ~、まさか純樹くんへのプレゼントじゃないよね?」 「千紘と純樹くんアツアツ~♪」 「いつまでもお幸せに。」 千紘は顔を真っ赤にして「そんなのじゃないよ!」と行って走り去った。 とりあえずプレゼントを見つけ家に帰ると母がホットココアを入れて待ってくれていた。 「おかえり。今度彼氏の家に持って行く用のケーキ作ってあげるね。」 「そんなのいいって。どこかで買って行くよ。」 「千紘は昔からお母さんのケーキ好きじゃない。だから彼氏にも食べて欲しいのよ。」 「ありがとう。それじゃあお母さんの美味しいケーキ作ってね。」 「わかりました。」 次の日、待ちに待ったクリスマス。 千紘はまた緊張していた。 前付き合っていたとはいえ、男性の家に行くのは初めてだからだ。 母は「はいケーキ。家行くからって怪しい事したら駄目だよ。あと、初めての相手は本当に大切な人にしないと。」 少々母は笑いながら言っていた。 千紘は顔を赤くし「お母さんからかわないでよ。それじゃあ行ってくるね。」 「行ってらっしゃい。」 母は玄関で千紘を見送った後、父の仏壇の前で「昔は私とあなたでクリスマスをしていたね。あなたがいつも帰りにケーキを買って来てくれて二人で食べ切れないのに大きいのを買って来てくれた。クリスマスに確かプロポーズされたのだったっけ?あなたがツリーにサンタクロースからのプレゼントがあるって言って探したら、ツリーの中に指輪が入っていたね。箱の中に入っていた結婚しようと一言だけ書いていたあの手紙、今でも大事に持っているよ。千紘を見てたら私達の事思い出しちゃう。今年はお兄ちゃんは遠くへ行き千紘も彼氏の家に行ってあなたと二人だけのクリスマスね。昔を思い出しながら雪でも見て久し振りにあの時飲んだワインと一緒にケーキを食べましょう。」 母の表情はやけに嬉しそうだった。
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