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変わってないどころか、私はあの頃より、いい女になっている自信があった。
「何だか…綺麗になったね」
龍一はそう言って、奈津子を眩しそうに見た。
「そう?ありがとう」
そう言う龍一も、昔と変わらず人目を引く風情だった。
背が高く、テニス焼けして整った顔立ちは、黒豹の様に精悍だった。
付き合っていた時から女の子にもてて、いつもハラハラさせらていた。
ふと、奈津子は龍一の視線を胸元に感じ、カーディガンをなおした。
「それで……あの後、万由子と結婚したの?」
私は、とっくに知っていたが知らないふりをして、口にもしたくない名前を口にした。
「あ…まぁね。子供が出来たから…」
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