4923人が本棚に入れています
本棚に追加
噂は、聞きたくなくても耳に入ってくるものだ。
「ねぇねぇ、奈津、聞いた?龍一君が付き合ってるって噂」
お昼に美咲とお弁当を食べていると、声を潜めて言った。
「え?さぁ…知らない」
私は目の端に、黙々と箸を動かしている龍一を見ながら言った。
「相手は、何でも、2組の千晶らしいよ」
美咲は更に声を潜めて言った。
「ふぅ~ん」
私は聞き流した様に答えたが、胸は騒ぎチクリと傷んだ。
千晶は龍一と同じテニスクラブで、ボーイッシュで体格がよく、小柄な私とは違うタイプの女の子だった。
最初のコメントを投稿しよう!