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久美は、蟻地獄にはまったようだ
もがけば、もがく程、ふかみにはまっていくような気がして、パソコンの前にすら、座るの躊躇った
そんな、或る日
その日も、正樹を何時も通り会社に送り出し後家事に専念しようと居間に戻る途中、久美は「ハッ!」と思い出し寝室に入った
「そうだ、そうだわ!
正樹に言われたのよね、服をクリーニング出しておいてくれって!
忘れないうちに居間に出しておかなきゃ、
取り敢えずポケットの中身を確認してっ!」
と上着の内側のポケットに手を入れると
「ガサッ!ガサガサ」
と小さな紙に手が触れた瞬間、一気に久美の顔が不安の表情へと変わっていった
そして、紙を取り出すと、その紙を不安そうに見つめた
紙を見ると、"LOTO 6" と印刷されていた。
「そうよ、そうよね
あの、正樹に限って、浮気なんかしないわよね
正樹もこんなの買うのね、なんか可愛い
でも心配をして、損しちゃった
なんだか、一気に疲れちゃった
でも、これ当たってるのかしら?
あら、昨日、抽選日かぁ~
ここのホームページもあるんだ
当選数字も表示しているのね」
と頭の中の不安が一気に消え、久美は笑い出しながら呟いた
そして、久美は上着を腕に掛けその"LOTO 6"紙は指で摘み持ちながら、居間に戻った
居間に戻ると、上着をソファ~に「ポイッ!」と投げ置き、久美はパソコンの前に座り、パソコンの電源を入れ立ち上げ始めた
パソコンが、立ち上げると宝くじのサイト開き、当選番号のページを開いた
そして、目を凝らしながら当選番号の数字と正樹の上着のポケットに入っていた紙を見ながら数字を合わせていく
「やっぱり、外れてるんだぁ~
だろうと思ったんだけど
そうだっ!
あいつ、居るかなぁ~」
と頭の中で、ツーショットチャットのあいつが頭を過った
久美は暗闇の穴から、希望の光が射したような、気がした
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