天明の異端児と天明の麒麟児

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次の日の放課後。 春夏秋冬部の部室には笑い声が 響いていた。 「本当に馬鹿高杉は馬鹿だな。 天明の異端児とか言われながら 雑魚に殴られて立てないって。 ……あっはっはっは! 」 「その笑い方、馬鹿みたいだな」 今日の夏山は一段と俺を 馬鹿と呼ぶ。 それを見て笑う春川と冬木。 秋谷は笑っているのだろうか。 表情がほとんど変わらないから よく分からない。 「馬鹿高杉はやめて今日からは 雑魚高杉と呼ぼうか? 」 「じゃあ、夏山は今日から 馬鹿夏山だ! 」 この小さな子供のような 言い合いが情けなく感じる。 「そういえば、昨日の会議の議題は 撲滅!抹殺!不良どもでしたね」 「そうだけど、どうしたの亜希? 」 冬木が俺を指差す。 「ここにも不良がいますね」 「あ、本当だ。雑魚不良が1人」 あの議題の不良という言葉の 対象は他校の不良であって、 俺は対象外ではないのでは?
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