天明の異端児と天明の麒麟児

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部室に入ると夏山だけがいた。 夏山は俺の顔を見るなり 表情が険しくなる。 「今日は早いわね。雑魚高杉」 「……今回は見逃してやるよ。 それより、今日は春夏秋冬全員が 学校に来ていたか? 」 春夏秋冬の4人は全員 同じクラスだ。 だから1人いれば他の3人の ことも大体分かる。 「全員いたけど。 そういえば今日、千晴は部活に 来ないわよ」 「どうして秋谷は来ないんだ? 」 この瞬間、人質が誰か 分かった気がした。 「用事があるらしくて さっき帰ったわ」 まだ5時までは時間があるが 俺は部室を飛び出した。 「ちょっと雑魚高杉!? どこに行くの……」 「俺も用事が出来た! 」 今回のは俺に売られた喧嘩だ。 あいつらを巻き込むわけには いかない。 走りながら携帯電話を出す。 俺も一応春夏秋冬部の部員らしく 他の部員、つまり春夏秋冬の 携帯電話の電話番号、メアドは 連絡をする為に知っている。 強制的に俺の情報を春川に奪われ 無理矢理、連絡先を全員と交換されたのだ。 この事実を中原と佐藤が 知ったら俺を羨ましく思い、 俺に対して激しく怒るだろうな。
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