感謝の言葉

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春川が石垣で遊んでいる隙に、 夏山と冬木が寄ってきた。 「大丈夫か、高杉」 「かなりやられたよ……」 夏山はいつも俺を見る時は 表情が険しくなる。 しかし、今は違う。 勘違いかもしれないが、夏山は 今にも泣きだしそうだ。 「あれ……? お前……」 夏山と目が合った。 しかし、それに驚いたような夏山はすぐに目を逸らし、冬木を見た。 「あ、亜希! 千晴を! 」 冬木が秋谷の手を縛る縄を 解いて彼女の救出に成功した。 石垣の方はまだ続いている。 笑う春川と泣いて詫びる石垣。 何だこの哀れな光景は。 その後は春川が石垣を虐げる 様子を皆で見て全てが終わった。 傷ついた俺は情けないことに 夏山に支えてもらいながら 歩いた。 女に密着しながら歩くのは 物凄く辛く、恥ずかしかった。 春川に遊ばれた石垣は 泣きながらぶつぶつと何か 呟いていた。 確か、女、怖い……と。
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