11球目

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カキーン! 先頭バッターの遠藤がツーベースヒットを放った。 「いいぞ、いいぞ、颯多!」 スタンドが一気に盛り上がる。 遠藤はベンチに向かって小さくガッツポーズをした。 「あいつやるね~。」 笠松はそう言ってバッティング手袋をつけた。 「慎吾いっちょ頼むわ!」 打席に立つ慎吾に笠松が叫ぶ。 慎吾は任せろと言わんばかりに胸に拳をあてた。 「やることくっせーな。」 「さすがクサい男。」 俺と笠松は笑った。 緊迫感のなさが俺らにとって心地よい。 笑顔も冗談も忘れない。緊張してたら余計力が出せないから。 慎吾はセンター前にヒットを放った。 思ったより打球が伸びなかったので慎吾は浮かない表情だった。 ノーアウト1・3塁。 4番・笠松の出番。 初球、笠松はデッドボールを食らった。 球場は大ブーイングだ。 そして俺の出番がやってきた。
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