✨幼なじみ✨(桜月 雪)

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「よっ❗おはよう❗桜月夫婦❗」 「えっ?」 「あついね~❗朝から❗」 同じクラスの悪ガキ軍団が二人に走り寄り、背中を叩いては走り抜けてく。 「ちょっと❗あんた達❗」 「ほっときなよ…」 雪が気色ばむのを少年は止める。怒れば怒るほど、こういう輩が図に乗るのは良くわかっている。相手するだけ無駄だ。だが、雪はなかなか怒りがおさまらない。 「だって❗頭にくるじゃない❗あいつらあ~❗」 雪はとにかくこの(桜月夫婦)というあだ名が大嫌いだった。自分の父親も入り婿だし、なんだかすごくバカにされている気がするからだ。実際、少年の一家は雪の家の二階に間借りしているのだし、雪は母親に似てお節介な性格で、良く少年の世話を焼いてあげているから、はたから見れば少年が雪の尻にしかれているようにも見える。そう言った意味ではしごく的を得たあだ名かも知れない。少年は、東京からこの青森にやって来た。その為か、地元出身の男の子と比べるとちょっとひ弱なところがあるように雪には思える。もっとも、長い時間を少年と一緒に過ごしてきた彼女には、彼がひ弱と言うより、とびきり気が優しいのだと言うことも、良くわかってはいた。
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