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聖夜に天使と共に
「寒い……」イルミネーションに照らされながら俺は街中を歩いていた。
周りはすっかりクリスマスムードで賑わっていた。
そんな姿を横目にただひたすら歩き続けた。
ふと裏路地に眼をやるとぼんやりと光るものが見えた気がした。足を止めその光に近づいていった。
「お、女の子?」
その光のもとには小さな女の子が何かふかふかしたものの上に気持ちよさそうに寝ていた。
屈んで女の子の顔を見ようとしたらあることに気がついた。
「羽だ、これ……」
ふかふかしたものの正体は真っ白な羽だ、その羽は女の子の背中から生えていた。
「天使……」
思わずその言葉が出た、天使のような女の子と言う比喩表現があるが、この子は実際に天使だった。
「……っ」
突然眼を開けた少女と完全に眼が合い、思わず息を呑んだ。
「あれ~?いつの間に寝てたんだろ?」
眼を擦りながら幼さの残る声でつぶやいた。
あれ?俺は無視?
頭が覚醒しきってないようで少しボーっと地面にちょこんと座っている。
俺は、あることに気づき自分のコートを羽織らせた。
「はひっ!?」
一瞬体を強ばらせたが寒かったようで、小さな手でコートを握っていた。
「寒いだろ?」
「貴方は、驚かないんですか?」
「ん、君が寝ている間に十分驚いたからね、でもなんでこんな所に、その……」
「天使がいるのかですか?」
少女は自分の羽を擦りながら俺の考えていたことを言った。
「試験なのです、今日即ち、クリスマスイブから、来年のクリスマスまでに、この本を人々の感謝の気持ちでいっぱいにしないといけないのです」
どこからか取り出した本を俺に見せながら少女が言う。その後も色々な話を聞いた。
「要するに、この世界の人と協力をして人の願いをかなえて歩かなきゃいけないんだな」
「はい、その通りです、ですから、その……」
「いいよ」
「……え?」
「協力してあげるよ、此処であったのも何かの縁だし、偶然なんてものは無いんだから、すべては起こるべきして起きた必然なんだから……っと」
言い終わる前に少女が抱きついてきた、良く聞くとすすり泣く声が胸元から聞こえた。
「あり……がとうございます。ずっと……こわかったんですもしも、もしも……」
俺は静かに少女を抱きしめた。
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