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号令とと共に、教師は去っていく。
因みにリオンに関しては、慣れてしまったのかお咎めなしだ。
「ああ、今日も疲れたぜぇ……」
リオンは机にへばりついてそう呟く。
完全にだらけ切っている。
気合いが足りない、と喝を入れたい所だ。
「……毎日屋上で寝ているだけの人がよく言うわね」
あきれ顔で少女は言う。
「仕方ないよカレナ。この人は常にパンクした状態なんだから」
彼女の言葉に、飽きれながらファイはそう言う。
これが十五年前、たった一人で戦局を覆した人物には、とても思えない。
「所でさ、ファイ。今日は暇?」
「え? まぁ、暇だよ。最近は訓練もないし」
突然の彼女の誘いに、ファイは少し驚きながら答える。
夏休みが終わって以来、少しばかり積極的になった気がする。
前まで、彼女はファイに話しかける前に、萎縮してしまっていたのだ。
やはり、夏休みでの一件が彼女を少しだけ大胆にしたのだろうか。
「ああ、お前達今日は遊びに行くのか? なら、夕飯はここで食ってけ」
二人の会話を聞いて居たリオンは、茶化すでもなくそう言って、一つの券を二人に渡した。
彼にしては珍しい事である。
彼と来たらこの二人が会話をするたびに、何やら茶化すのだから。
元々、二人は幼馴染で仲がよく、互いの事を異性として認識しているので、仕方ないと言えない事もないのだが。
しかも相思相愛であるにも関わらず、互いにその心に気付いていないのだから、茶化したくなるのも仕方ない。
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