面倒臭いだけのひと。

22/33
前へ
/617ページ
次へ
彼女の得意な魔法は火属性の圧倒的破壊。 殺戮のみを追求した、圧倒的な火力を使用した魔術。 広域殲滅を主とした魔法、単体殺傷用攻撃魔法、この二つしか無い。 一応、火属性以外の魔法を使用する事は可能ではある。 だが「ヒトを殺す為」に、最も得意な魔術を究めれば十分であるという発想が彼女にはある。 だからこそ、細やかな魔術が苦手なのだ。 地属性はワルキには及ばず、水属性はカレナの足下にも及ばず、風属性は……当然リオンより高いがピアナに及ばない。 只、火属性においてのそれはファイとは比べものにすらならない。 技の最大威力は当然の事、その多岐にわたるバリエーション、その他技能においてファイは勝てる事は無いだろう。 例え、クルドの魔法が広域殲滅魔法で、ファイが破壊力を集中させた魔術で対抗したとして、ファイが勝てる訳も無い。 瞬時に消し炭になる。 それがたとえ、ピアナの風であっても、カレナの水であったとしても同じ事だ。 彼女はその圧倒的な破壊力と引き換えに、他の魔法が弱くなってしまったのだ。 「ああ……うん。つまり、火属性以外全て苦手と」 「そうなる。火属性以外、単純魔法しか使えない」 もしかしたら扉が直るかもしれないと期待したが、それも儚い希望だったらしい。 「はぁ……リオン様に頭下げるしか無いか……」
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加