面倒臭いだけのひと。

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「何故です? 必要な時に敵がいると言うのなら、殺さなければ。殺さなければ死ぬのは自分ですよ」 瞳を鋭くしたファイはリオンに問いかける。 誰かを護る事に関して、少し強い思い入れが、彼にはある故に少しだけ気が立ってしまったのだ。 護りたい為に強さを選ばなかった彼には。 「お前達は確かに、そうだろうな。この世界には人間とは違う生物がいる」 眼には鈍い光。 クルドも同じ光を眼の奥にたたえている。 それは、人を殺す事によって生計を立てて来た人物の、特有の光かもしれない。 「俺達の世界には、人間とは異なり、人を襲う生物が存在している。それらから、人間という種を護る為に戦うのは間違っていることじゃないだろう。だが、人間という種族が互いに戦うのはどうなんだ?」 「それは……人間は一個の種族ではありません」 リオンの問いかけにファイはそう答えた。 どうやら、カレナも同じ意見らしい。 「確かに、お前達からすればそうだろうな。俺から見たら全ては同じだけどな」 そう全ては同じ。 絶対の力を持つ彼にとっては等しく平等。 風の前の塵に同じ。 「人間という一個の種が自らで、潰し合っている風にしか思えない。例え、俺がこの思いを持っていたとしても、どの道相手から攻撃を受けるから防御しなければならない。そのために誰かを殺す」 リオンの生き方、見つけた定義。なんのために生きるか。 「お前だってそうだろう。クルド」 「私は、貴方とは異なるわ」 「そうだったな。お前は自分を守るためだけに、誰かを殺して来たんだから。俺のお師匠と一緒だ」 笑いながらクルドにそう言って、彼女の頭を撫でてやる。 自然な流れだった。
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