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自然な流れすぎて、ついうっかりクルドは頭をなでさせてしまった。
普段なら絶対に頭をなでさせたりはしないだろう。
年下のリオンには絶対に。
リオンが何故そうしたのかは、特に理由は無い。
強いてあげるなら、親近感があったのだろう。
人を殺すことだけで、自分の命を繋げて来たという、近しさが彼が頭をなでた理由なのだろう。
「……やめなさい」
微弱な殺気を放ちながら、クルドはその手を払う。
「おお、怖い怖い。悪かったね」
それに対して、特に動じた風も無くリオンは手をどけた。
心なしか、少女の表情が少し赤くなっているようにみたいに見えるが、恐らく気のせいだろう。
表情は先程とは変わらず、無表情のままだ。
「……そう言えば、何しに来たんですか。そんな話をする為に来たんじゃ無いでしょう」
少しだけ重くなった空気を払うように、ファイが口を開く。
「ああ、そうだった。今日はヘルがいないからさ、ちょっと晩飯をたかりに……」
「構いませんが、扉を修理してくださいね」
「えー……別に俺が壊したわけじゃないだろ」
口を尖らせて愚痴を漏らすリオン。
一属性特化型のクルドとは違い、万能型のリオンにとってみれば簡単な事この上ないだろう。
「働かざるもの食うべからずです」
「……そもそも、夫婦喧嘩で壊したんだろうが」
ぼそりとリオンは愚痴を漏らす。
「何か言いましたか?」
笑顔で炎を掌に揺らめかせる。
灰にしてにしてやるぞ、と暗に言っているかの様だ。
「はぁ……やれやれ。カレナ達も食べてくだろ?」
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