面倒臭いだけのひと。

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溜息を吐きながら、ファイは少女たちに尋ねる。 よくよく考えてみれば、リオンが来るまでこの部屋には美少女三人と、男が一人だけだったのだ。 なんと言うハーレム空間だったのだろうか。 いや、しかしファイにはそんな事を味わう心的余裕なんて、これっぽっちも存在しなかったのだ。 美少女と言うより、美女と形容した方が正しい女性が一人いるが。 まぁ、美少女に囲まれていてドキドキするほど、彼はもう純情では無い。 これもリオンの影響である。 「そうね。まだ食べていなかったし、御馳走になろうかな」 すこし考えるように人差し指をやって、上を向いてから彼女は答えた。 確かに、これから自室に戻って料理の準備をするのは、非常に面倒臭い。 「それじゃあ、少し待っていてくれ。すぐに作るから」 「ファイ様、お手伝い致します」 立ち上がったファイに、そう言ってついて行くピアナ。 「ありがとう、助かるよ」 ファイはそう言うと、彼女の助力を拒むことなく受け入れる。 彼女の場合、断っても無意味であるという事が分かっているからだ。 そもそも、彼女が一人で作りたいのだろうが、ファイの手伝いという位置で納めているあたりかなり遠慮をしているようだ。
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