面倒臭いだけのひと。

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その様子を見たクルドは、カレナの方を見て尋ねる。 「私も手伝った方がいいかしら」 「別にいいのよ。気にしなくても。あの二人の事だし」 「そう、なら良いわ」 クルドはそう言うとコップを傾けて喉を潤す。 「さて、待ってる間暇だし、扉を修復しておこうか」 リオンは欠伸をすると立ち上がって、ふき飛ばされた扉を片手に修復に向かった。 それにしてもずいぶんと悲惨な状態だ。 見事にへこんでしまっている。 溜息を吐くと、まずは扉の形状を修復する。 地属性魔法の上位。複雑な形状をいじるなんて事を、下位の魔法しか使えない奴には、無理だ。 「やれやれ、派手にやったねこりゃ」 言うと次の瞬間には形状は元に戻った。 次は地属性魔法で強引に塞がれたそこを開いた。 「おや」目を見開いて驚くリオン。 其処に居たのは、彼の使い魔二人。ヘルとロウである。 「主、貴方は何をやっているんです」 若干呆れた風にヘルは言う。 「いや、何って……扉の修復?」 手元にある扉を見て、彼はそう言う。 「……またやったんですか」 「いやいや、俺はこんな荒っぽい事しないだろう」 「それはそうですが……毎度毎度、こうなると分かっているのに……」 懲りないお方だ、とこめかみに手を当てて首を振るヘル。 同様に人間の姿になっているロウも溜息を吐いて首を振る。 完全に二人ともリオンの仕業だと思っている。いつもがあれなので仕方のない事であるが。 「俺ってとことん信用されてないんだな……とりあえず入れ。食事はまだなんだろう? ファイに言って量を増やして貰え」
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