面倒臭いだけのひと。

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喉をならしながら、リオンはそう言った。 「……随分と格の高い使い魔ね」 「悪いか?」 「悪いとかそんなのでは無いわ。どんな使い魔が現れるのかは必然。誰も操作は出来ないわ」 目の前に操作できる人がいるのだが、それは伏せておくべき事だろう。 「それでも、ヘルという格の高さはおかしいわ。それに竜まで契約しているなんて」 「珍しいのは否定しないがな。別に二人いても問題はないだろう」 「……問題は、あるわ」 鋭く言い切るクルド。 一瞬だけ、誰にもわからない速度でリオンは眉を顰めた。 「本来、使い魔を召喚するという事は膨大な魔力を消費すると言う事と同じ。だから常時召喚なんて出来ない。私にだって無理よ。それを同時に二体も。とてもじゃないけど一時間も持たないわ」 「……よく気づいたな。本来なら、確かに一時間と持たないだろ」 「本来なら? だったら、貴方は別の手段を利用しているというの?」 「まぁな。俺は基本的に省エネで行動する事が、基本になっているから、その余った余剰分の魔力をため込んでいるんだ」 「余剰分の魔力をため込む手段なんて無いわよ。使い魔を常時召喚できるほどの魔力を保持するなんて、どれだけの体積が必要だと思っているの」 「表に出回っている魔法理論なら、そうだろうな」 「……どういうこと」 「俺の師匠を忘れたのか? あの人になら魔力をため込む手段くらい知っているさ」 「……不可能ではないというの?」 「原理は秘密だがな」
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