面倒臭いだけのひと。

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リオンは悪戯っぽく笑ってそう言う。 正直、口から出まかせでは無い。 実際に魔力をためる手段は存在してる。 特殊な材料を一切使わずに。 「門外不出、というわけね」 「まぁな。俺はリミッターと一緒に、そいつを付けているからな。常に余剰分の魔力が溜めこまれる」 「私も欲しいわ」 「やらねぇよ。自分で作ったんだからな。結構大変なんだぜ?」 「そう、なら仕方ないわね」 さして興味も無さそうにクルドがそう言った瞬間だった。 「待ちなさい、あんたはいつもヘルを呼び出しているでしょうが」 カレナの痛烈な質問だったが、リオンも実はこれに対しての反論は用意している。 「まだスペアがいくつかあるんだよ。それに、気付いていないだろうが、ヘルは自分の魔力だけでこっちに固定できるんだからな」 「なら、クルドに一つくらいあげなさいよ。そんな、けちけちしていないで」 「やだ。こんな手間のかかる面倒くさい代物をなんでやらなきゃいけないんだよ」 「手間がかかるって……あんたの事だからどうせ、簡単な事なんでしょ」 「巫山戯るな。こいつ一つ作るのに結構な魔力を消費したんだぞ。今から作るなんて考えたくも無い」 これ一つ作るのに、中級魔法数発分の魔力を持続して数時間にわたって、使用しなければならない。 それを幾つも作るとは非常に時間のかかる事この上ない。 「本当かしら?」 「疑うのかよ……半分リミッターの役割果たしているんだぞ。なんならつけてみるか?」 自分の腕に付けている一つを外してカレナに渡すリオン。 それを受け取ると、そのまま自分の腕に装着する。 「なに……これ……!」 「すぐに外せ!」 リオンの怒声と同時にカレナは腕のそれを外して投げ捨てた。 自分の魔力を吸い尽くされる感覚に近かった。強制的にすいだされる感覚、気色の悪い事この上ない感覚だ。
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