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それによって二人が肩を並べるようになった。
安堵の息をはいて、ファイは速度を落として歩き始める。
「本当にだらしないです事。そんなのだからカレナに告白されないんですよ」
「煩いですね……それとこれとは関係ないでしょう」
何処をどう解釈すれば一体そのような言葉が出てくるのだろうか。
「まったく、よりによってまたこんな事に巻き込まれるとは……」
深い深い溜息を吐きながらファイは一人呟く。
「諦めなさい。私も仕方なしにこのような事をしているのですから」
隣でファイの愚痴を聞いたエルが、慰めにもならない言葉をかける。
「そろそろその口調どうにか出来ませんかね」
「あら、この学校に通うという事はこのような話し言葉で無ければならないのでは無くて?」
「……いつの時代ですか」
時代錯誤も良い所である。
と言うより、今どき箒に乗っている魔法使いなんて見たことが無い。
余りにレトロな魔法使いのイメージだ。
本人は「魔女と言えばこの格好である」とか意気込んでいたのだが……。
明らかに失敗だったような気がする。
因みに彼女が今使っている魔法は、箒に風属性魔法を付加して飛行している。
風属性を操る事が出来るファイなら、まだ不可能ではないが、まだまだ難しい。
何せ火属性が主な使用属性なのだから。
二人して肩を落としたまま、仲良く上履きに履き替えて職員室まで向かった。
校内は清潔という言葉を貼り付けたかのように、汚れが目立たず非常に綺麗なままであった。
当然、女子の園という名前がつくだけあって、ファイは興味津々だ。
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