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しかし、最近は学校のみんなもファイ自身を特別視しなくなったので、本人も特段気にも止めていないので、その事を完全に忘れていたのだ。
というよりも、崩天のルシフェルの人気が高すぎるが故に、忘れられていたと言うべきだろうか。
ファイが、崩天の弟子である事は、すでに学園の生徒達に知れ渡っていることであるから。
「ほ、本当に?」
何故か危険な香りがしてきたが、とりあえずここは答えるべきだろう。
「はい、その通りです」
何時でも身を引ける体勢になって、彼は言った。
「わ、私、あの方のファンなんです! まさか、あのお方のご子息がこの学校に入学してくるとは……しかし」
隣に居るエルを見て、ファイの服装を見てから彼女は聞いた。
「なぜ、貴方が従者をやっているんですか?」
「いえ、まぁ……紆余曲折ありまして……」
横目でエルを見ながら言葉を濁すファイ。
「成程、あの方は自分の息子に見聞を広めろと、そう仰っておられたのですね!」
成程、と勝手に解釈されてしまったが別にそれでも都合が良い。
「私の家は、魔術を専門に取り扱っておりましてね。魔法の知識を教えてやってくれと頼まれまして」
「頼んでいませんけどね。というか、魔法じゃありませんから、主戦術は」
魔法を使うが、あくまで刀を使った近接戦闘が彼の得意分野だ。
魔法はそこまで上手くなくても良い。
目の前に敵がいるのなら、すべて斬り倒せば良いだけの事である。
「成程、そうでしたか。あ……すいません、取り乱してしまって」
顔を赤らめてそう謝罪するアシュレイ教諭。
こんな恥じらいや可愛らしさが、うちの担任にもあればな……。
大剣をぶん回しながら駆けまわる担任の事を思い出すファイ。
後メイド長にもあればいいな、とかも思っている。
「お気に為さらないで下さい。ファイのお陰でなれましたわ」
「俺は貴方のおかげで荒事になれましたが」
ぼそりと呟く。
途端に鋭い殺気が飛んでくる。
「それでは、エルさん。私についてきてください。教室までご案内しますわ」
「宜しくお願いいします」
そう言うと、女性二人組は行ってしまった。
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