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「よし、それじゃあ俺が入ってこいと言ったら入ってこいよ」
「分かりました」
担任はそう言い置くと、少しばかり騒がしい教室の中へ入って行った。
その途端に教室内が静まりかえる。
この光景だけは何処へ行っても変わらないものである。
「あい。じゃあお前ら、今日は転校生が来ている」
「先生! 女子ですか!」
「馬鹿。このクラスに女子が来る訳無いだろ」
「ちっ」
「分かってて舌打ちするな。それじゃあ入ってこい」
こう言った所は、本当に変わらないものだ……ファイはそう実感しながら教室の引き戸を開けた。
そうして、教壇の上、丁度担任の横まで進む。
「ファイ・クロノ・デルシオンです。皆さんよろしくお願いします」
そう言って頭を下げるファイ。
「はい、それじゃあこいつに質問ある奴ー」
ヴァンがそう言った途端に、すぐさま声が上がる。
「クロノ・デルシオンという事は暴風の魔人の息子ですか!」
やっぱり来た、とファイは内心溜息を吐く。
「ええ、父は暴風の魔人、クロノ・デルシオンです」
そう言った途端に、教室中から感嘆の声が上がる。
改めて父が有名人であると実感した瞬間であった。
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