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驚いた。幾ら何でも手回しが早すぎる。
受けざるをえないとそう確信していたかのようだ。
全く、本質をよく見抜いているというかなんと言うか。
「手回しが早いのは悪くないが、あの女がそこまで切羽詰まった状況になりますかね?」
リオンは生徒会長にそう尋ねる。
あのムカつくくらいに力があるカレイネルだ。
この間の事だって、別にリオンとファイがいたからどうという事では無い。
きっと、彼女たちだけで解決できていたはずの問題だ。
「それは、私にも理解できない。何故カレイネル家当主がそこまで急ぐのか……身内に危険でも迫っているのではないのだろうか」
「……だとしても、あの女はそんな事で動じる奴じゃあありませんよ。むしろ、だからこそ慎重に冷静に行動をする女です。憎たらしいまでに」
「感情的でないのか、カレイネルの当主は。しかし、君はよく知っているね」
拙い! ファイは背中に汗が滲むのを感じた。
カレイネル当主自身の事をよくしているなんて、一般市民としてはおかしすぎる。
「まぁ、深い詮索はしないが」
「助かりますね。説明するのが面倒なんですよ」
どうやら生徒会長は追及する気はないらしい。
こんな性格の人で助かったと、胸をなでおろすファイ。
全く、危険球を投げすぎる。
お陰で心臓が破裂するかと思うくらいに跳ねあがってしまった。
「まぁ、ここで長話をしていてはいけないな。では君たちはすぐに行ってくれ」
生徒会長がきっぱりとそう言うと、ファイとリオンの二人はしっかりと返事をした。
「はい!」
「はい」
そうして二人は学校の敷地内に入って来ていた、車に乗り込み再びカレイネルの館へと向かう事になったのだ。
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