少女たちの楽園へ……

15/58
前へ
/617ページ
次へ
そんな彼女に対してリオンは睨みつけたまま言う。 「静かにしていられると思うか? この俺が。貴様の下らん用事のおかげで、大切な時間を割くと言うのに」 「あら、それはごめんなさいね。でも、話によると貴方は学校でもだらけているだけらしいじゃ無い」 「それが俺にとっては大切な時間だ」 真剣な表情でそう言うリオン。ただ学校で寝ているだけが、一体どれほど大切なのだろうか? 「それを真顔で言える貴方も凄いわね。面倒な事はクロノに任せているのにね」 それを聞いたミルネはあきれた風に息を吐きながらそう言う。 尤も…… 「貴様が言えた事ではないだろう。よもや、忘れた訳でもあるまい?」 完全に見下した言葉だ。 「……それも、そうね」 少しだけ沈んだ表情と言葉だ。 やはり、少しは負い目を感じているのだろう。 自分の弟を、迫害し、死に至らずとも同等の苦痛を与えた事に対して。 「……そ、そんな事よりも本題! 本題に移りましょう!」 何時までもにらみ合いを続ける二人に怯えながらも、ファイはそう提案をする。 ぎすぎすした雰囲気になれない。 というか、この二人は真正面から殺気をぶつけ合っているから、本当に怖い。 「そうね。こんな事をしている時間も無かったのよ」 そう言うと彼女は少しだけ、殺気をひそめた。 「今回、貴方達に頼みたい仕事って言うのは……」 その言葉を聞いた瞬間に、ファイは当然、リオンまでもが大口を開いたまま黙り込んだ。 「貴方達なら出来ないことじゃないでしょう?」 「無茶言うな!」 当然のように言うミルネに、怒鳴りつけるリオン。 こればかりはリオンに同意せざるをえない。 巫山戯ないでほしい。 他の学校に、しかもお嬢様学校として有名な聖オラトリオ女学院にだ! 普通に考えて無理があり過ぎる! リオンもファイも生物学上男である。 女学院に通うなんて無理があり過ぎる。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加