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リオンの怒声にも動じないカレイネル家当主は、彼に次の言葉をかける。
「リオン、貴方なら無理じゃないでしょう?」
「ぐ……っ!」
言葉が詰まる。
以前、ミルネの娘、シルノの護衛を行った時にリオンは肉体を女体化させたのだ。
「エル、だったかしら? あんな魅力的な少女になる事も出来るのね」
「……また俺に、女になれと?」
「それさえ出来れば問題はないわ。ファイの方は貴方の従者という事で潜入させる事が出来るもの」
「冗談だろう、いくら女になれるとは言っても偽名で戸籍のない女を学校が受け入れる訳がない」
「その辺りはあそこの学長と話がついているわ。私が言っておいたわ」
「……因みに、今の学長は誰だ?」
眉を一度しかめると、そう尋ねるリオン。
「ウルドよ」彼の質問に対して、短く答えるミルネ。
それを聞いた途端に掌で顔を覆い、うなだれるリオン。
「そう言えば、あいつはどこぞの学校の長をしているって話しは聞いた事があったが……」
よりにもよって……リオンは最早ため息を吐くしか出来ない。
ウルド……ノルンの三姉妹の長女だ。彼女はリオンの正体を知る数少ない人物の一人でもある。
つまり、今回の任務に関してはギルドのバックアップがあるに等しい。
「学院の制服はもう用意してあるわ。リオン、貴方の分は採寸が間違っているかもしれないけれど、文句は言わないでね」
用意周到も良い所だ。
「貴方達は明日から学園に通ってもらいます」
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