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呆れ果てる二人を放っておいて話を進める。
「女性であるリオンはお嬢様で、男性であるファイはその従者で通ってもらうわ」
「随分と急いでいますね」
ファイは話を進めるミルネに対してそう質問をした。
流石に幾らなんでも性急に事を進め過ぎている気がする。
普通なら、もっと足場を固めたりしながら時間をかけて行う事だと言うのに。
「今回は少し急がないといけないのよ。既に数人の生徒が襲われているの」
「襲われている? 話が見えませんけど……」
そんな、襲われている、だなんて急に言われてもファイにはピンとこない。
襲われているのなら、すぐに警察などに調査を依頼した方が早いのでは無いのだろうか。
「いいわ。丁度その説明をしましょう」
彼女は咳払いをすると、今回の任務に関しての情報を話し始めた。
つい一週間ほど前の話だ。
聖オラトリオ学園の女子生徒が、下校していた途中で何者かに襲われた。
背後からだった為、その顔を見る事は出来なかったらしいが、口を押さえつけられた事から恐らく誘拐が目的だったのかもしれない。
その時は偶然通りかかった、他の生徒の従者が機転を利かせて助かったらしいが。
しかし、同様の事件が毎日一度は必ず起きている。
なんとか、まだ一人も誘拐はされていないらしい。
これは非常に由々しき事態であり、早急に手を打たなければ、被害は広がるばかりだ。
そもそも一体何が目的なのか、はっきりしないのだ。
特に今回は。
以前にも同様の事件が起きたのだが、どうやら懲りていなかったらしい。
今回はどうやら、学校を限定してきたらしい。
なにを企んでいるのかなんてどうだっていい。
要は被害が及ばない様にしてしまえばいいのだ。
「そこで今回貴方達にやって貰いたい事は――」
―――――――
(女子学生の護衛と犯人の鹵獲……ねぇ)
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