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後頭部やら腕やら背中やらが随分と痛む。
あれだけの威力で突撃されたのだ。痛くない奴がいたら、そいつはマゾか身体が鉄で出来ているに違いない。
「やれやれ……と言うか、お前もこの学校だったのか?」
溜息を吐きながら自分を抱き枕の如くしがみついているシルノに尋ねる。
前回は何処の学校に通っているのか聞いていなかったのだ。
「そうだよ? 私はここに通っているの!」
この学校には中等部がある事を完全に忘れていた。
当然、あの親の事だ。自分の娘を環境の良い場所に通わせるに決まっている。
完全に失念していた。妹の存在を忘れてしまっていた。
これは少しばかり厄介な事になりそうだ。
「お前、俺がここに来た理由知っているんだろう?」
「理由? 私に会いに来てくれたんでしょ」
「なんと言うご都合主義解釈……」
「分かっているよ、お母様の話を聞いていたもの」
本当にそうなら何故来たと聞きたい所だが、彼女の協力も仰ぐべきだろう。
学校内に内通者がいると言う事なら、学校の内情に詳しい人物の協力も必要だ。
「分かったから離れろ。とりあえず、今は教室へ帰れ」
「えー良いじゃない。少しくらいサボっても」
「昼休みにでもなったら会いに行くから。授業をさぼったりしたら、成績に大きくかかわるだろ」
「ぶぅ……分かったよ。ちゃんと会いに来てよね」
口をとがらせるとシルノはファイの上からどいて、そのまま自分の教室まで帰って行った。
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