少女たちの楽園へ……

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深く聞いてくれないのはファイにとって、ありがたい事だった。 深く聞かれると説明するのに時間がかかる。 それに、説明には幾らかの本当の様な嘘も含まれている。 あの先生にそんな嘘が通用するとは思えないのだ。何故かはよく分からないが。 周囲の生徒の協力もあり、すぐさま片づけを終えると、授業は始まりを迎えた。 内容は従者としてのあり方と、その職務について。 教科書はミルネが用意してくれた物を使用している。誰かに借りる必要性が無かったのは、ありがたいことだ。 ファイには縁遠い話だが、こんな状況下である以上、きちんと聞いておかなければならないだろう。 それに、知っておけば何かの役にはたつだろう。 何の役に立つかは不明であるが。 まぁ、従者の役目には護衛も含まれている為、そう言った仕事をする際には役に立つだろう。 チャイムが鳴ると、ヴァンは終了の言葉を告げる。 「今回はここまで。各自、しっかりと復習をしておくように」 そうして学級委員長の号令がかかり、全員が起立し、礼をした。 そうして、一部の生徒達がファイのいるところまで集まろうとした。 が、そこでヴァンの一声がかかる。 「お前ら、転校生に話を聞くのは構わないが、次は体育だぞ。遅れたら、当然罰ゲームだからな」 この一声に、生徒達は渋々自分の机に戻り体操服に着替え始めた。
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