少女たちの楽園へ……

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話しかけて来たのはビリーだ。 まぁ、来たばかりで知り合いもいないここでは助かるのだが……。 正直、さっきの戦闘で大分体力を消費した。 幾ら戦いなれていない奴らだからと言って男は男。 相手をするにはそれなりの体力を使うだろう。 まぁ、何時もとは違う状況であるので、十分に楽しむ事にしよう。 「ああ、いいよ」 笑顔でそう返事をすると、ファイはビリーと一緒に場所を移した。 向かい合って、構える。 正直なところ、素手での戦闘は慣れていない。 どちらかと言えば、ワルキの領分だ。徒手空拳は。 実はさりげなく素手での戦闘も教えては貰っている。 貰ってはいるものの、素人に毛が生えた程度。 ワルキと真正面で殴りあったら勝てる事は無いだろう。 武器と魔法があって初めてワルキに勝てるのだ。 構えた二人は動かない。 互いに窺っているのだ。 しかし……ビリーの構えを見てファイは思う。 随分となれた構えだ。 たどたどしい構えでは一切ない。 ファイのようになれない構えでは無い。 実は戦いなれている? そんな疑問を持ったが、試してみればわかる事だ。 とりあえず近付いて一発。 踏み込みは甘く、なるべく抑え気味の一撃。 怪我をさせてはいけない。 それをビリーはあっさりとよけてくれる。 反撃は受ける……が、浅く弱く遅い一撃。 力み過ぎて、弱くなっている訳では無い。意図的に実力を隠そうとしている拳だ。
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