少女たちの楽園へ……

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一方、リオンの方は……。 「では次の問題を……」 必死で欠伸が出そうになるのをこらえていました。 つまらない。退屈だ。 周りは全部女だけ。 しかも自分が男だという事がばれてはいけない。 面倒臭い。お嬢様なんて代物を、まさか自分自身でやる羽目になるとは。 全くもって巫山戯ている。 娘をこんな窮屈な所に入学させなくて正解だった、と激しく納得する。 余りにつまらなさ過ぎて、逆に眠気なんて吹き飛んでしまう。 本当なら、教科書にでも落書きをしたい所だが、そんな所が見つかったら煩く言われるんだろう。 煩わしい。 全く煩わしい。何で俺がこんな事を……。 溜息が自然と口から洩れる。 ……さっさと見つけて殺すか。ああ、いや、情報を聞き出さないと……くそっ! どっちにしろ面倒臭いじゃないか! 舌打ちしたくなるのを我慢する。 本当に煩わしい所だ。此処は。 男が受ける授業ではない。 せめて魔法の授業なら、多少の退屈しのぎが出来るというのに。 退屈しのぎに教科書をパラパラとめくっていく。 特段これと言った記述は見当たらない。 別に興味など無いし、どうだっていい。 ぼんやりと変な話し方をする教師の話を聞き流していると、あっという間に授業は終了した。 ああ、退屈だった。非常に退屈な時間だった。 次の授業もこんなものだと思うと非常に憂鬱極まりない。 何か上手い退屈しのぎを考えておかなければ。 そう言えば……。 「あの、すいません」 「は、ハイ。なんでしょうか?」 近くに居た女子生徒に話しかける。 何故か挙動が不審だったが、おそらく転校生である自分の事を警戒しているのだろう。 箱入りお嬢様だから、異物に対する抵抗が付いていないのだろう。 特に無名の貴族に関しては。 「次の授業はなんですの? 私は来たばかりで、時間割が分からないのですが」 出来るだけ、話し方をそれらしく振る舞う。
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