少女たちの楽園へ……

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あの教師は一体何者なのだろうか。 しかし、どこか見覚えはあるのだが。 何処だったかは忘れたが。 「エルさん、よろしいでしょうか?」 「はい、構いません」 正直上の空だったが、どうでも良い。 早く終わらせて、魔法をぶっ放したい。 リエルが前に出てくると、エルの前に立ち塞がる。 どうやら、魔法で勝負とはこのようにするらしい。 恐らく決闘の類だろう。 一対一の状況なんて滅多にないというのに。なんと道楽的な事だろう。 「私の名前はビーチェ・ジェンマ・アリギエーリです。属性は炎ですわ」 名乗るのが礼儀か。ならば、答えなければなるまい。 一日に二度も自己紹介をするのは随分と違和感を覚えるが。 「私の名前は、エル・ヴィエル・レグルスです。属性は……光ですわ」 少し考え込んだが、とりあえず自分の名前に含まれている属性を言った。 全部使える、というか、六属性すべてに彼は当てはまらないのだが。 「では、参ります」 「……私はあまり争いは好まないのですが、貴女がそう思っておられるのなら、教えて差し上げます」 エルがそう言い終わるとビーチェは魔法を放つ。 言うだけあってやはり、中々に強力な魔法。 だが、やはりファイには及ばない。所詮は箱入りお嬢様。 とりあえず、珍しい技を使えば喜びそうなので、炎の熱エネルギーをすべて吸収してやる。 火属性の裏ワザ、ってやつだ。 火属性は、火を扱う属性では無い。本当は熱エネルギーを扱う魔法なのだ。 教師が生徒が、驚きの表情で固まる。 エルはなんて事無いような澄まし顔で、自分も魔法を発動する。 紅蓮、業火、剛炎。 エルの放つそれは、対戦相手の少女が放った魔法を火とするのなら、炎と形容するに相応しいだろう。 全く違う。 エルの手から放たれたそれは、一直線に向かう。 「ひ……!」 悲鳴を上げて、逃げる事すらできない。
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