少女たちの楽園へ……

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ふわりと風にその髪をなびかせながら、エルは言う。 「あら、案外大した事ないのね。ノルンの三姉妹って」 「それは貴方が化け物すぎるだけよ、この合法ロリ」 所詮、五百歳の少女なんて合法ロリにすぎない。 特に歳をとらない、いつまでも美貌の衰えない少女は女にとって疎ましい存在だろう。 そう声を発したのは閉じ込めた筈のウルド。 「貴方は私を舐めすぎよ。堕天使」 エルの背後から魔法を放つ。 回避は不可能。当然、彼女が振り返る時には直撃。 これで勝負はついたかにみえた。だが、これでは終わらない。 驚愕の色に染まりきったまま、エルの姿が揺らぎ消える。 幻だったのだ。 精巧すぎる、幻影。一体何処で彼女は入れ替わったのだろうか。 外側に居たヴァンたちでさえ分からない。当然、あの牢獄をどうやってウルドが脱出したのかも。 「うふふ……貴女こそ、私を舐めているのですよ?」 エルは上空に居た。 風に浮いているように、ふわりとスカートをなびかせて。 彼女が発動させたのは、巨大な巨大な魔法陣。 先程、ウルドを拘束したそれとは全く違う代物。 幾何学的な模様が描かれた真円は、エルの足もとに展開される。 これは拘束魔法では無い。 攻撃魔法だ。 詠唱、魔法名の一切を言わずしてこれ程までに強大な魔法を生み出す……。 普通ならありえないことだ。 「これで本当に終わりですわ」 「みんな! 気を付けて!」 「俺達の後ろで固まれ! 出来る奴は防御魔法を!」 エルが魔法を発動する前に、ヴァンとアシュレイは生徒達に注意を促し、魔法で防御壁を幾つも作り出す。 その次の瞬間に放たれた光線は、人を一人飲み込んで余りある程の大きさ。 それはウルドを飲み込み、地面へ衝突する。 その攻撃の余波を受けて、教師陣の張った障壁が一瞬にして砕ける。
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