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エルはいい終わると同時に息を吐いた。
長い話は流石に疲れたのだろう。久しぶりに話をした為に、若干喉もかれてしまった。
水分が欲しい所である。
「成程、な。いやぁ、勉強になったよエルさん。自分もそこまで知らなかったものだから」
今まで黙って口を閉じていたヴァンが五百歳の少女に礼を言う。
全くもって面白い話だった。
魔導書と言う存在を久しぶりに聞いたのだ。
自分の家にあったかどうかは忘れてしまったが、探してみるだけの価値はあるだろう。
彼も男だ。しかもこの学校には似合わない程に、血の気の多い。
「お礼には及びませんわ。私のご先祖様から続いてきているお話ですもの。それを今、貴方がたにしただけですわ」
「だが、君はそれをすべて覚えている。素晴らしい事では無いか。勤勉でありつつ実力もある。まさに文武両道と言ったところか」
「ありがとうございます」
何がいいたいのだろうか、この男は。エルがそう目の前の男を猜疑心溢れる目で見ていると、彼から予想だにしない言葉が出て来た。
「君は近接戦闘も出来ると言ったね。どうだ? 俺と一戦まみえてみると言うのは?」
少しだけ言葉遣いか変わったヴァン。
気合いが入っている事だろう。
傍から見ている少女達にも、その気迫は十分に伝わってくる。
強者が居るのなら戦ってみたい。もののふとしての、当たり前の欲求だ。
先程ファイとあれだけ派手な戦闘をしたというのに、この元気は一体何処から来るのだろう。
これだけの体力は、担任以外見たことが無いというのに。
あんなのが二人も居たら、身が持たない。
「折角のお誘いですが、ご遠慮させて戴きますわ。私も流石に疲れておりますの」
やんわりと断るエル。流石にこれ以上面倒事はごめんだ。
そろそろ昼寝もしたくなってきたし。
「それと、後で皆さんには一枚だけ護身用の魔法陣をお渡ししますわ。ここの所物騒ですし、ね」
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