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キロリ、と瞳をウルドへと向ける。
これが目的だったのだろう? と暗に問いかけている。
「ちなみに、どのような魔法なんですか?」
一人の生徒から質問が飛んでくる。
自分が貰う事になる魔法陣とやらが気になるのだろう。
言われずとも実演してみせる。
「簡単な捕縛魔法ですわ。ただ、個人によって効果が異なるものですが」
「個人によって、効果が異なると言うと?」
「いえ、すいません。言葉を間違えましたわ。正確には属性に応じて効果を変える魔法陣ですね」
「属性によって効果が異なるとは、一体?」
「簡易的なものですわ。同じ魔法陣でありながら、使用者の属性に応じて変化する魔法陣ですの」
「でも、属性って一人一つではありませんよね。そのくらいは知っていますよ?」
当り前だ。一人一属性なんてケチくさい話は無い。
元々、属性なんて魔力に付属したおまけみたいなものだし。
それが個人に応じて、得意か不得意かに分かれただけ。
全て均等に使い分ける事が出来る人間は余りいないだろう。
どんな実力者だって自然と得手不得手が生まれるもの。特にそれが顕著に表れているのが、スクルドと言った所だろう。
「そうです。ですから効果をすべて同じにするのでは無く、各個人の属性に合わせたものにするんです。なれない魔法なんて使うものでは無いですから」
成程、と少女達から歓声が上がる。
それが何を意味しているのか、理解できたのだろう。
アシュレイもただただ驚かされるばかり。
「……エルさん」
「なんでしょうか、ヴァン先生?」
ヴァンがいぶかしむ様な瞳をエルに向ける。
「本当に君はその知識を受け継いだだけなんだね?」
「ええ。そうですわ。私はそう言う家柄で生まれ育ったものですから。言ってしまえば私は魔家に生まれたようなものですから」
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