少女たちの楽園へ……

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苦笑しながらあたかも、そうであるかのように思わせて言う。 ばれても困るし、信じなくても困る。 行動し辛くなる。本当に嫌な仕事だ。 内心で何度も悪態を吐きながら、目の前にいる妙に勘が鋭い教師に微笑みかける。 こいつの嗅覚の鋭さは犬並みだ、とか訳の分からない事を考える。 とりあえず、納得してくれたらしく、引きさがってくれた。 流石に現状でこれ以上突っ込んだ質問をされると、幾らエルでもぼろが出かねない。 そもそも、ここにいる連中は家柄に集まる羽虫。 友人どころか話し相手たる資格は、良家である事は絶対条件だ。 もし、その条件を満たしていなければ、たちまち話も何も聞いてはもらえないだろう。 とまぁ、リオンの勝手な思い込みだ。 煩わしい道具風情に自分の時間を割かれるのが非常に気に入らないので、当然何年も前の女子の行動や思考でその言動を決めている。 現代の少女の思考なんて興味が無いので。と言うか、漫画などからの偏った情報なので酷い事になっているが。 リオン自身のイメージでは、 「お姉さま……」「マリア……」という方程式が成り立っている。 即ち百合。レズ。同性愛。 一方的で歪み切った情報だというのに、それを信じる方もどうかと思う。 オタクじゃあるまいし。いや、オタクでなくともそうであるが。 複雑なように見える、簡易的な極論が大好きなのだ、人間とは。
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