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その問題を回避するために連れて来た奴が、問題を引き起こしてどうする。
戸籍が無い生徒が学校に紛れ込んでるとなれば、当然問題となると同時に、その素性が調査される事となる。
となれば、当然エルの事だ。素性も分からない。
となれば、小うるさい貴族どもは黙っていないだろう。
「そうですね。まぁ、気なる事はたくさんあるのですが……」
本当に舐め腐った嗅覚だ。
「それは残念ですわね。でも、ここでは時間が足りないようなので、また後日」
そう言ってほほ笑みかけると同時に、終了を告げるチャイムが鳴り響く。
アシュレイはそれを聞くと、生徒達を整列させる。
きちんとそれに倣い、整列する。
するりとヴァンの隣を抜ける時に、微細な殺気を感じながら。
号令と同時に生徒達は礼をすると、そのまま教室へと帰って行く。
「エルさん、貴方には少しだけ話があります」
「分かりました」
生徒達からの好奇の視線を一身に浴びながら、教室へ帰ろうとしていたエルを呼びとめる。
ウルドのその指示に従って、彼女のもとへと歩いて行く。
一体何の用なのであろう。
殊更に強い、視線を受けながらエルは考える。
どうせ仕事に関しての事だろうが。
とにかく、面倒事を背負わされてしまった事を後悔しながら、ウルドと一緒に「一番偉い人の部屋」へと向かって行ったのであった。
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