聖女と淑女と少女達とそして従者

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昼休み。それは生徒達の短い癒しの時間。 研ぎ澄まされた学習の時間から離れ、乾いた心に水分を補給する時間である。 とは言っても、当然の事ではあるが、水分を補給できない生徒もいる。 それは昼休みでも勉学に勤しむ者、誰かに媚び諂い機嫌を取らなければならない者など、様々だ。 そしてここにも一人、充実した昼休みを送れない生徒が一人……。 「お兄ちゃぁん」 「そんなにくっつくな……歩き辛い」 執事服に身を包んだファイは、昼休みになったという事で、従妹のシルノを迎えに行ったのだ。 何故か? それはシルノがうるさいからである。 迎えに行かなかったら「何で迎えに来てくれなかったの!」と言って喚くだろう事は目に見えていた事だ。 しかも今回の件に首を突っ込む気でいる。 正直、止めて欲しいのだが。 なんて、考えたところで始まらない。とにかく、今は自分の腕に絡みついて離れようとしないこのロリをどうするかだ。 恋人みたく、くっついている所為で周囲の視線が痛い。 女子しかいない所為か尚の事、だ。 「良いじゃん。私達従妹同士なんだから」 満面の笑みでそう言うシルノ。 幸福そうでなによりだ。ど畜生。 「従妹ならこんな事はしません。お前の彼氏にでもしてやりなさい」 「この学校に居て、彼氏なんて出来る訳無いじゃん」 「いやいや、学校外で作れ」 「学校外での男女交際は禁止されているの」 「……まだそんな古臭い風習が残っていたのか」 溜息を吐いてファイはそう呟く。 と言うか、学校外恋愛が禁止だなんて前時代的すぎる。こんな事だから、百合だとかレズだとか薔薇だとか、そんな同性愛の妄想が生まれるのだ。
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