聖女と淑女と少女達とそして従者

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やれやれ、とファイは溜息を吐く。 どうやら、とことんカレイネル家と崩天のルシフェルの相性は良くないらしい。 普通ここまで互いを毛嫌いするものだろうか。 エルとしては足手纏いが増えるのを嫌っているが、シルノとしては仲間外れにされるのを嫌っている。 ただ単に性格の不一致と言う事もあるだろうが、それ以前にエルとはもめ事を起こしているから、余計にそうだ。 古い時代の風習とやらは、未だまだ現代に根深く住み着いているのである。 ファイからすれば下らない事この上ないのだが、リオンにはそれがまだまだあるらしい。 と言っても、自分の子供を溺愛するからこそ嫌悪するのだが。 一族根絶やしにしようとした事がある事は、記憶に新しい。 と言うか、今でもすきあらばと狙っている辺り、どうもしつこい。 年寄りは執念深くて困る。 「そんな事は今は良いとして、これからどうするつもりです?」 このままだと貴重な昼休みの時間が全てこの下らない言い争いで終わりそうなので、さっさと本題を出しておく。 学生の昼休みはそこまで長くは無いのだ。 「暫くは様子見。それ以外なにもで出来ないさ。生徒達にはどうせ、護符を持たせるつもりだから、捕縛出来る確率は上がる。一々、俺が全生徒に目を凝らすよりもこっちの方が早いだろ」 リオンはそう言うと一枚の札を取り出した。幾何学的な模様が描かれていた。 「魔法陣、ですか」 それを見て、ファイは呟く。 当然、見覚えくらいはある。長距離を移動する際には、魔法陣を使用する事が多いのだから。特にギルドで仕事をする際には。
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