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あの式を覚えきるのは流石に無理がある。
陣とは絵であるが式である。だからこそ、複雑な方程式を覚えるのは無理がある。
二次方程式なんて目では無い。
「大丈夫だ、魔法陣を書くための魔法陣を使用する。ほら、こいつを使え」
「……そんなことまで出来るんですね」
流石に驚いたらしい。魔法を使用する以外の事が出来るなんて、知らなかったのだ。
「何を驚いている。当たり前だろ。シーケンス制御のプログラムみたいなもんだってのに」
一枚の魔法陣が描かれた紙を手渡しながら、エルはそう言った。
手渡されたその紙にも、やはり複雑な魔法陣が。だが、若干簡易的になっているように見える。
手渡されただけのファイは、ただ戸惑うだけ。
「え? これでどうしろと?」
「どうしろも何も、こいつを使って紙に魔法陣を書いていけ、ってことだ」
「……コピー機じゃあ駄目なんですか」
確かにコピー機なら簡易的に量産が可能だ。
一々手で書く手間と比べたら非常に効率が良いだろう。
「俺が試していないと思ったのか?」
「う……そりゃそうですよね」
「魔法陣をコピーするまでは良いんだが、なぜか発動してくれないんだよ。俺でも理由は分からない」
この人にもわからない事があるのか……などとよく分から無い感心をしていると、その表情を読まれたのか、エルは笑いながらファイに言う。
「どうした? 俺にわからない事があるのが不思議か?」
くつくつと喉をならして聞くエル。
「いや、まぁねぇ……貴方が知らない事なんて無いとばかり思っていましたもの」
頬を掻いて、苦笑しながらファイは言った。どうやら、シルノは放置したままにするようだ。
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