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魔力を込めるだけで発動する魔法陣のおかげで随分と時間が短縮できている。
恐らくあの調子では、ファイが一つの魔法陣を作っている間に、五つか六つくらいの魔法陣を作っているに違いない。
なんて事をしているんだ。本当に。
本当ならえらく手間のかかる作業だって言うのに、エルのあの行動を見ると、随分と簡単そうに見えるから何とも言えない。
最早ため息しか出ない。
とやかく言われる前に、自分の分を終わらせよう。
素直に諦めて作業を再開するファイであった。
そうしてその作業を大人しく見るしか無いシルノは退屈極まりない。
と言うか、授業を堂々とサボって居てもいいのだろうか?
彼らの行為には学生としての常識を疑いたくなるものだが、最早崩天のルシフェルの一言で納得できてしまう。
彼に常識は通用しない。
常識の範疇で彼を見ていると、酷いしっぺ返しを食らう事になる。
当然ファイがそうであったように。
作り始めてから何時間が経過しただろうか、ようやく全校生徒の魔法陣を作り終えたファイはその場に寝転がっていた。
「うあー! 疲れた!」
四肢を思い切りのばして、全身の疲れを取り除く。
彼自身が作った枚数は、総計百枚以上。
結構な魔力も消費した上に、集中力まで使い果たした。
もう殆ど使える魔力が残っていない。
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