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魔法陣を一つ書くのにも結構な魔力を消費したから、仕方のない事だ。
「さて、次はこのお守りを各学級に配らないといけないな」
一切つかれた表情を見せないエルは、プリントの束を魔法で浮かばせて言う。
「ええ、まだ作業があるんですか」
「文句をたれるな。それでも男か」
「今は男女平等の時代ですよ」
「何が平等だ。ただの甘えだろう。さっさと立ちやがれ」
寝転がっているファイを蹴飛ばすエル。
スカートの中の白い布切れが見えてしまった。が、当然それに興奮する訳も無い。
エルのパンチラ風情で興奮していたら、余程の欲求不満か変態以外あり得ない。
若しくは事情を知らない第三者か。
こんな奴に欲情していては、男として終わりである。
「痛いですよ。なにすんですか」
「煩い。とっととこいつを各クラスに配ってこい。ほら急げ」
結構な量をファイに渡すと、彼を急かす。終業時間までそう時間は無い。
「分かりましたから背中をけらないで下さい」
溜息を吐くとファイはそのまま、走って行ってしまった。
「……お前未だいたのか」
「私忘れられてた!?」
―――――
各クラスを走り回って、プリントを配り、それに関しての説明をし終えると、時間は丁度ホームルームの時間となってしまった。
結局午後の授業はさぼる事になってしまった。
と言っても、紅茶の入れ方だなんだは正直、必要のない技術なので、別に出なくてもどうだっていい。
ただ、覚えておいても悪くは無い知識ではある。
しかし、疲れた。渡すだけならともかく、行く先行く先で説明を求められるのだ。
その度に立ち止まって説明をしないといけないのだ。
一応、真面目に仕事をする気はあるのは助かるが、下準備無しは非常につらい。
せめて、こいつを作る時間があれば良かったのだろうが。
こんな薄っぺらい紙切れ風情に護られなきゃならないほどに、この学校の生徒は弱いのだろうか。
それともボディガードを雇う必要が無いとでも勘違いをしているのだろうか?
なんにせよ、馬鹿が多くて困る。
「突然だったもんなぁ……」
また愚痴る。最近一人ごとが増えたのは言うまでも無い。
そしてその内容が愚痴であるという事は当然だ。
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