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好奇心旺盛な高校生は、彼女がどのようなもので釣られたのか非常に気になるだろう。
クルドの周囲に、他の生徒がいなかったのだ。
当然、誰もリオンが彼女の机の上に置いたチケットを、見る事なんて出来る訳も無い。
一人の勇気ある生徒がどのような紙切れを見せたのか、クルドの後ろからのぞくと、そのまま硬直した。
彼の友人が「どうした?」と声をかけながら、その視線の先を見ると、同様に硬直してしまう。
当り前だ。ここに居るのは貴族ばかりでは無い。
一般市民からの生徒もいる。
今、チケットを見た二人も、例外では無く庶民の一人だ。
「う、嘘だろ……」
「なんでだよ、というかあったのか?」
うわ言のように彼らはそう言う。
無理もない。
本当に彼らにとって、天上の存在である事に変わりはないのだから。
「ちょっとまて、なんでリオンがあのレストランの招待券なんて……」
「あのレストラン」という単語に注目が集まる。
「いや、丁度ふくびきというかくじを引いたら、大当たりしてね」
二人に向かって何故か自嘲するような微笑みを浮かべる。
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