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そんな下らない事を考えながら、ファイは教室へと帰る。
この時の彼は未だまだ分からなかったのだ。
戦争とは、どのような状態をいうのか。
教室に戻ってくると、丁度ホームルームが始まった頃だった。
「おお、帰ってきたか。学園長から話は聞いてる。御苦労だったな、席に座って座ってくれ」
ヴァンの指示に返事をすると、ファイはすぐに自分の席に着く。
そして必ず一度は突っ伏す。
こうでもしないと身体が持ちそうにない。
せめて精神くらいは、持たせたいのでほんの少しだけ体を休ませるのだ。
そうでもしないと真面目にやってられない。
ホームルームで言われた事はいくつか。
テストの事、転校生であるファイの事、その他もろもろとそして例の不審者の事である。
殆ど毎日襲われている為、必ず気をつける事らしい。
未だに誘拐されたという報告は無いが、襲われている事には変わらないので、主人の身をなんとしてでも護るようにとの事だ。
尤も、こんな戦闘訓練もまともにできない連中と比べれば、リオンの渡した魔法陣の方が役に立つのかもしれない。
因みに、ファイが各クラスを駆け回って渡して来た魔法陣についても触れられた。
それと、襲われた時の状況報告も忘れずに行って欲しいそうだ。
情報提供こそが、事件をすぐに解決する為の一番の近道でる事には変わりない。
物的証拠は勿論、状況証拠すらも固めなければ完璧な回答は得られない。
因みに、警察への協力は既に図っている。
登下校中の巡回は怠っていないし、警戒態勢を崩したわけでも無い。
だというのに、襲ってくる頻度は一向に衰える気配を見せない。
全く何を考えているのだろうか。
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